【アイルトン・セナ ~音速の彼方へ】孤高の天才に涙してしまうドキュメンタリー

『音速の貴公子』と呼ばれたアイルトン・セナが亡くなってから15年の歳月がたちます。彼は生涯をまさに『音速の貴公子』として駆け抜けていきました。そして、1994年のサンマリノGPでの悲劇的な事故が彼の人生の幕を引きました。

天才、音速の貴公子、カリスマと呼ばれる反面で、気難しい一面をもったアイルトンの生涯を振り返るドキュメンタリー映画。

生い立ちからはじまり、両親を交えての複雑な環境下とカート時代から頭角を現した光景。F3に昇格しての凄まじいレーススタイル、雨のセナと呼ばれた彼の伝説のレース。そしてF1トールマンからのデビュー、ロータスホンダから始まるホンダとの蜜月時代。故郷の英雄ネルソン・ピケや“プロフェッサー”アラン・プロストとの確執。

ウィリアムズへ移籍してからの苦悩。天才ゆえの孤独さ、ナーバスになっていた死の直前までを同じ時代に生きた戦友が語っていきます。

音速の貴公子・華々しい活躍の足跡

今40代から50代の人間にとっては映画の半分以上は知っている内容なのは間違いないはず。なぜなら「アイルトン・セナ」は日本にF1ブームを持たらした張本人だと言えるからです。

彼は1980年代後半、マクラーレン・ロータスといった名門チームでホンダエンジンとタッグを組んで勝ち続けました。勿論バブル経済で景気も良かったのですが、今のF1とは比べものにならないほどの知名度、ドキュメンタリーの放送がありました。

フジテレビのF1の地上波放送の冒頭でも、T-SQUAREの『TRUSH』が流れる前にも、軽くセナのドキュメントは流れていましたし、少年誌でも軽く自伝が漫画化されていました。

しかし、内容は当然把握していたとしても、この作品の貴重さは揺るがないと言えます。当時セナの事故の場面を生中継で見ていた人間でも、というか必然的に人の記憶は薄れて風化していきます。

この映画を見ることで、セナの懐かしい姿をレース、プライベート、関係者のコメントを通じて、記憶を甦らせることができるのが最大の映画の恩恵かなと個人的には思います。

海外視点でのセナが斬新である

日本視点から見たセナではなく海外視点からのセナというのは、F1ブーム最盛期、ジャストセナ世代の人にも違った視点で見て楽しめるはずです。どうしても日本のマスメディアだと『セナ』イコール善、『プロスト』『ピケ』イコール悪の構図で報道しがちです。

日本人はとかく勧善懲悪を好む国民性を以ていますので、少し覚めた視線、観点で語られる物語というのはやはりドキュメンタリーならではだと言えるでしょう。また、本田宗一郎氏のくだりがやはり日本だと大きくなってきてしまいます。

本田氏の「うちの車で勝ってくれてありがとう」のくだりは有名なエピソードですが、ここはサラッと蜜月程度で終わらせているのは、日本人視点だと斬新ではないでしょうか?

天才ゆえの孤独

天才ゆえの孤独の真実が見えてきます。

順風満帆だったのは少し引いてくれるパートナーだった、『ゲルハルト・ベルガー』のいたマクラーレンホンダ時代だけ。鈴鹿でベルガーを前にいかせての1-2フィニッシュは未だに記憶に残っている方も多いでしょう。

天才ゆえの孤独というべきか、気難しいというべきかは個人の主観によります。

F1パイロットに限らず、このレベルの選手はエゴイストじゃない方が少ないともいえるのですが、『孤高の人』という表現がピッタリはまってきます。

誰もが人間はエゴイストであり、セナは自分に素直であっただけとあらためてそんな印象を持ちました。

知っている人はほとんど知っている映画の内容だと思います。

鮮明に記憶が甦って涙が出るくらいの仕上がりのドキュメンタリー

今とは全く状況が違い、当時は1レースごとにGPの速報雑誌が複数が販売されていた時代でF1に関しては情報が満ちていました。

ただ前述した通り人の記憶は薄れます。

改めて映像を見ると、鮮明に記憶が甦って涙が出るくらいの仕上がりのドキュメンタリーと評価していいでしょう。

伝説のレーサーたち ―命をかけた戦い―

エル・チュエコと言われたファン・マヌエル・ファマジオと音速の貴公子と言われたアイルトン・セナは残念ながら故人になってしまったのですが、それ以外にも有名なレジェンドが登場するドキュメンタリーです。

『セナ・プロ』対決に日本が湧くもう1つ前のF1ブームの立役者だった「ニキ・ラウダ」氏も登場します。当時F1ブームでアニメ『グランプリの鷹』にも登場したのを覚えてる方々には感慨深いはずです。

感慨に浸る暇もなく、語られるF1マシーンの真実と早さを追求するF1パイロットの覚悟を堪能できるドキュメンタリーです。ドキュメンタリーが苦手だという方には『RUSH』です。

前述した「ジェームズ・ハント」氏と「ニキ・ラウダ」氏、 ライバル関係を程よく脚色したストーリーになっています。